日本におけるIFRS対応の変遷と今後の課題

日本におけるIFRS対応の変遷

20103月期の決算より、日本でも上場企業の連結財務諸表におけるIFRSの任意適用が認められ、IFRS強制適用の検討が開始されました。

ところが、翌年、東日本大震災が発生。

企業は国内対応に重点をおかざるを得ない状況となり、IFRS強制適用は事実上見送りとなりました。

その後、日本では、「連単分離を前提とした任意適用企業の積み上げ」に舵が切られました。

2013年春、日本でのIFRS適用企業の数を確保しなければならない事情が発生します。

IFRSを監視する団体である、モニタリングボードのメンバー要件に新要件が追加されました。

すなわち、「当該国においてIFRSを顕著に使用していること」が要件とされたのです。

当時、日本でのIFRS適用企業は17社ほど。IFRS策定プロセスにおいて、日本の意見を発信し続けるためにも、IFRS任意適用企業の拡大が急務となりました。

これをきっかけに、IFRS任意適用企業拡大が事実上の国策となりました。

IFRS(国際会計基準)の成り立ち

IASは1973年より現在まで、IFRSは2003年から現在まで続く基準となる

1973年 国際会計基準委員会(IASC)の設立

国際会計基準(IAS)の発行

2000年 証券監督者国際機構(IOSCO)による IASへの支持表明
2001年  IFRS財団、国際会計基準審議会(IASB)が設立
2003年  IFRS第1号(IFRS-1)発行
2005年  EU域内の上場企業の連結財務諸表に対してIFRSの強制適用開始
2007年  東京合意により日本基準とIFRSのコンバージェンス加速化が図られる

米国において、SEC(米国証券取引委員会)登録外国企業へのIFRS適用容認

2008年  G20(ワシントンサミット)で「単一で高品質な国際基準の策定」が目標に掲げられる
2010年  日本においてIFRS任意適用開始及び強制適用の検討開始
2011年  東日本大震災
2012年  金融庁より、連単分離を前提に「IFRS任意適用企業を積み上げる」方向性を公表
2013年  官民挙げての「IFRS任意適用企業拡大」を後押しする環境整備が進む
2015年  JMIS-Japan’s Modified International Standards

(修正国際基準)が公表される

2016年  日本でのIFRS任意適用企業(予定含む)が140社を越える

IFRS導入における今後の課題

IFRS導入にあたり解決すべき課題は山積みです。IFRSルールに沿った財務諸表の作成においても、過去の実績がない中でしかもIFRSをしっかりと理解した人材が極端に少ないため、その対策はほとんど取られていないのが実態のようです。体系だてたIFRSの理解がその導入に向けた対策の一歩となることは間違いありません。

●解決すべき課題

  • IFRSに対応できる社内管理体制への見直し
  • IFRS採用による企業業績への影響度合いの把握
  • 経営者層へのIFRSの理解、浸透
  • 過年度のIFRSベース数値の確定
  • IFRSの日本語普及、教育プログラムの整備、人材の育成
  • 税法との調整事項の確認
  • 具体的なIFRS適用実務の積上げ
  • 経理システムの構築

 

a・・・1年未満、b・・・1-2年、c・・・2-3年、d・・・3-4年、e・・・4年以上
出展:(社)日本経済団体連合会「今後のわが国会計基準のあり方に関する調査結果概要」経団連のレポートによればIFRSへの移行期に要する期間は1-3年は必要と回答している企業65%と過半数を超えスムーズなIFRSへの移行には相当な期間が必要なようです。

上記のような課題を克服し、問題なく移行するためには早期に人材を育成し早めの準備が不可欠です。

IFRS(国際財務報告基準)への取り組み

私どもは、現在、プライスウォーターハウスクーパース中国事務所にて、中国に進出する日系企業に対する監査、税務等のサービスを提供しております。中国でも、2006年に公布された企業会計規則は、IFRSに非常に近づいた内容になっております。今や、IFRSへのコンバージェンスは、主要諸国における基本的な流れであります。

このため、IFRSは、会計事務所でも、いわば共通言語となっており、IFRSの知識は、海外の会計事務所で勤務する上での必須事項であります。一方、海外に進出する日系企業においては、IFRSに関する知識や事務経験を有する方々は必ずしも多くないため、IFRSの基本を理解された方々には、海外で活躍されるチャンスが出てきております。

グローバルにビジネスを展開される日本企業としても、今後、IFRSの知識、実務経験を有する人材の育成、研修体制の充実が、大きな課題となっております。

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